11日17日に発売したインディーズゲーム、『GOODBYE WORLD』をプレイしました。
現代を題材にしたアドベンチャーで、GBA世代を思い起こさせるドットながら2人の女性が創作に向き合う題材が独特。面白かったです!
1、2時間でクリアでき、短編感覚で遊べるボリューム。
それでいて演出、ドットなどが力を入れて細かく作り込まれている濃密なゲームでした。
ADVパートとゲームボーイを模したアクションゲームを交互に遊ぶシステムですが、アクションゲームのクリア可否にかかわらずシナリオは進みます。
SteamとNintendo switch用にそれぞれ配信されています。
今回は印象的な要素をネタバレありで考察・感想を交えて振り返る記事となりますので、未プレイの方はプレイ後に見ることを推奨します。
以下、ネタバレあり。
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目次(クリックで移動)
プレイ時間は1時間。サクッと終わる短編映画ボリューム
本編は全12章からなる分岐なしの短編で、冒頭のBLOCKパートを除けば1シナリオは10分未満で終わるほど短いです。
舞台は2021年、こだわりが強く周囲と馴染めないゲームクリエイターの蟹井(カニちゃん)と絵で人の心を動かしたい熊手。ゲーム作りに苦悩する二人が出会った頃(2017年)から今までを振り返る形でシナリオが進みます。
専門学校を卒業後、就職をせず2人でゲームを作って売ることを決めた2人。しかし現実は思うようにいかず、いくつか出したゲームの売上は伸びず、生活をすることができません。
以前のように楽しくゲームを作れなくなった蟹井を見て、熊手はゲーム作りを辞めて就職することを決意。
本作の何よりの特徴は、人間や物の細かい動きまですべてドットで表現されているところ!
これだけですさまじい労力がかかっていると思われます。
以下はTwitter引用ですが、ここの電車が止まるときの中の人の慣性が描かれている所が一番印象的でした。
電車が止まる直前の、慣性で身体が持っていかれそうになるあの感覚が表現されてて感動した。空間の作り方も秀逸だけど、こういう日常のささやかな機微の拾い方も凄い。 #GOODBYEWORLD #フライハイワークス #NintendoSwitch pic.twitter.com/QLXRhYuA49
— ロッズ (@rods_skyfish) November 17, 2022
非クリエイターにも伝わる創作の苦悩
ゲーム中に蟹井は様々な人から厳しい言葉を受けます。
半分は蟹井自体の性格によるものですが、半分は創作そのものに対するDisだったり、こだわりが顧客には受けないという指摘だったりでキツい・・・
演出も合わさって、クリエイターではない自分にも蟹井の辛さが伝わってくるシーンばかりでした。
ゲームボーイライクのミニゲーム『BLOCKS』
各章の最初、ゲームボーイを模したゲーム機で当時さながらの白黒ドットのゲーム「BLOCKS」を遊ぶシーンから始まります。
ゲーム内容はキャラクターを操作し、ブロックを改修・設置しながら進むゲームでパズル要素のあるアクションゲームという感じ。
使用するボタンも、移動4方向+2ボタンというまさにGB仕様。
スーパーマリオブラザーズさながら1-1から1-4まで平原→海→洞窟→火山のステージが続き、その次は2-1と徐々に難易度が上がっていきます。
作中で実機プレイしている設定なので、ゲーム機のウィンドウは揺れるし、周囲の環境音も聞こえてくるのが芸コマ。
こっそりと忍ばせた本音
本作のオープニングとラストに書かれる蟹井の独白。
世の中には 本音を隠す馬鹿がいる
心のうちを明かすことで──
ダサいとか──
頭がおかしいとか──
そう思われることが耐えられないのだ
そのくせ頭が悪いから──
いつか誰かの目に留まるところに─
こっそりと本音を忍ばせたりする
それこそ本当に──
ダサい人間のやることだと
私は思う。
12章は約束の日に会えなかった熊手が後日蟹井の家に行った所から始まりますが、
蟹井は窓を空けたまま部屋にはおらず、戻ってきませんでした。
そしてその夜、熊出が置かれたゲーム機をプレイすることに。それこそ、プレイヤーがプレイしていた『BLOCKS』でした。
熊手の「カニちゃんはなんでゲーム作ってるの?」という問いに応えられなかった蟹井が、ゲーム『BLOCKS』にこっそりと本音を忍ばせて熊手に伝える演出だったんですね。こういう演出めっちゃ好き。
「ただゲームを作るのが楽しかった、熊手と一緒のときはもっと楽しかった。」
「もう一度、やり直せないかな?」
ラストの二人は・・・?
蟹井かゲームを通して自分の想いを伝え、ED後の2人の会話。
蟹井が『なんで私 死んじゃったみたいにされてるの?』と言っていることから、ここまでの『GOODBYE WORLD』はゲームであったことが伺えます。
つまり『BLOCKS』はゲーム内ゲーム内ゲームだった…ってコト!?
ここまでの流れがゲームだったため、ラストシーンの2人が本作の回想シーンのような別れを経験しているかは明らかになっていません。個人的には和解のシーンを期待していましたが、そんなのを描くのははヤボだぜ!という感じの〆でした。
まぁ、そこを描いてしまうと「やり直す」のシーンの重みが減っちゃうので仕方ないところ。
実際には作中のような喧嘩シーンはなく、別れの直前に話していた「話題になるシナリオ重視のゲーム」として、ゲーム内ゲーム『GOODBYE WORLD』を作った可能性もありますね。
今回はここまで。短いながらも印象的なゲームでした。