7/29に発売したゼノブレイド3ですが、ようやくクリアしました。
ゲームとしてかなりまとまっており、特に過去作以上に主人公たちが生きる世界の描写に力が入れられていましたね。
(追記)
DLC4弾の”新たなる未来”もクリアしました。新たなる未来の感想・考察はこちら。
以下、ネタバレ感想。
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目次(クリックで移動)
■設定・シナリオ
永遠に続くケヴェスとアグヌスの戦争
ゼノブレイド1と2の世界がもとになっており、人種のビジュアルにもそれぞれの特徴が表されています。
ノアたちをはじめとして、作中の兵士たちは10年しか生きられません。その上、相手の生命を奪わなければ火時計による恩恵を受けられず死んでう。酷え世界だろここは。
また、物語冒頭の混浴シーンでノア・ユーニ・ランツが特に性差を気にしていないことからも、彼らに生殖の概念または生殖能力そのものが無いことが伺えますね。
限られた命をどう使うか?という話に対し、自分のために使うことを決めたエセルたちをはじめとして様々な答えが提示された点は良かったです。
旅のなかで育まれる6人の絆
最初は敵として出会い、ウロボロスとなった後も一度はそれぞれのコロニーに戻ろうとするなど、お互いに全く好印象を持っていないところからのスタートでした。
が、約2ヶ月にわたるアイオニオン一周の旅を通して、深い信頼で結ばれていく様子が少しずつ、少しずつ描かれているのがよかったですね。特にタイオン。
コロニー同士の異文化交流
今作では主人公メンバー意外の仲間はヒーローとして各コロニーのリーダーが仲間になります。
個人的に、1や2と比べたときに一番今作で進化した点としては、このヒーロー同士の交流がしっかり描写されていることです。
ノアたちが開放した後のコロニーで起こる様々な問題が起こるのですが、今作のサブクエストでは異なるコロニーに出向いたり、それぞれの得意分野を生かした展開が描かれます。
畑を作って自給自足を目指すコロニー9がすでに畑の文化を持つコロニータウに教えを乞うゼオンのヒーロークエスト、元々敵同士だったコロニーでメンバーを交換することになるニーナのヒーロークエストなどですね。
アイオニオンで生きているキャラクターをより深く感じることができ世界への没入感が高まりました。
アイオニオンの成り立ち
元々1つだったゼノブレイド1の世界とゼノブレイドの世界・アルストが衝突する
ひとつ気になるのが、本作のアイオニオンは世界の衝突~オリジンによる再生のどの段階で発生しているのか?という点です。
ニアの語りでは”世界はその瞬間静止した”とありますが、”世界の再生は行われなかった”とも言っており、どちらかハッキリしません。
ただ、オリジンはあくまでも「それぞれの世界の情報を記録し再生する装置」であることは間違いなく、消滅現象そのものを止めたり戻したりといった干渉をするものではありません。
なので作中アイオニオンは、「世界の消滅後にオリジンが再現した衝突直前の世界」であると考えられます。
メリアやニアが数百年生きていたりすることも、オリジンが作った仮想世界のようなものであると考えればなんとなく納得できます。
散りばめられた「ゼノギアス」オマージュ
今作では、過去のゼノブレイド1・2以上にゼノギアスオマージュが非常に多いです。
ゼノブレイドクロス、ゼノサーガⅠ~Ⅲは未プレイ(DS版のⅠ・Ⅱはプレイしたけどうろ覚え)なので他にも色々あるかも。
※当然ながらゼノギアスのネタバレを含みます
転生を繰り返すノアとミオ
ミオとはケヴェス・アグヌスの兵として生まれる前の前世からシティーでパートナーの関係であり、メビウスに抗うシティー側の人間としてノアと出会いと別れを繰り返していました。
・・・ってこれ、ゼノギアスのフェイとエリィじゃん!!!
主人公フェイは転生を繰り返す”接触者”であり、ヒロインであるエレハイムとは本編開始前の歴史から何度も繰り返し出会い・別れを繰り返していました。
まさかゼノギアスの関係ほぼそのままオマージュが来るとは思わなかった。ノアのポニーテールもフェイの意匠・・・ってコト!?
執政官エヌとノアの関係も、ゼノギアスに登場する求道者グラーフと主人公フェイとかなり似ています。
エヌはケヴェス兵として転生する前のノアであり、死別を繰り返したミオと一緒に生きるためにメビウスとなりました。
一方でグラーフは主人公フェイの前世(ラカン)の残留思念が主人公の父に乗り移った存在なので、どちらも前世の人格であることが強調されています。
ノアのインタリンク
正面からの顔やシルエットがゼノギアスに登場するギア「ヴェルトール」にそっくり・・・というわけではないですが、ところどころの意匠が似ています。
Twitterで検索したところ、やはり類似点に言及する人がちらほら。口元のデザインなんかはほぼそのままっぽいですね。
インタリンクとヴェルトール https://t.co/hFoiaADbtq pic.twitter.com/6dDtEJCZ6N
— regulus:ʕ• ౿•ʔ (@kumarinphantasm) April 20, 2022
また、ユーニのインタリンクと、ゼノギアスに登場するクレスケンスというギアも頭に羽が付いたデザインは似ています。が、そっくりと言うほど似ていなかったので割愛。
あとはミオのインタリンクが「サーガ」のKOS=MOSっぽいとかも。
人型ロボに変形するキャッスル
ゼットとの決戦時にオリジンに対し、ケヴェス、アグヌスの両キャッスルが首都ごと人型ロボに変形するシーン。
首都まるごとロボの構成物となったのがポイントですが、ゼノギアスDisc2でも大国の総督府が変形して敵の巨大ロボを迎え撃つシーンがあります。
総督府(実は戦艦)が変形した超巨大ギア:ユグドラシルⅣ
ゼノブレイド2でもイーラ戦艦・モノケロスが最終盤で人型ロボに変形するなど、シリーズではたびたびスタッフのロボ癖が仕込まれていますね。
六氏族像 ヴァンダム家の始祖
作中では設定にしか登場しないためファンサービスレベルですが、
シティー六氏族の像の一人はフェイにそっくりです。
アホ毛+ポニーテール+格闘が得意そうな出で立ち。
また、ギアスではないですが、オーツ家の始祖なんかはまんまシュルクですね。
ゴンドウ
・収容所の王者として登場
・武器が格闘
・パーティメンバーに近い重要人物
・由緒ある血筋
・付き添いポジションが裏切る
まんまというわけではないですが、ゼノギアスの弱い方の緑ことリカルド・バンデラス(通称リコ)っぽい要素がてんこ盛り。
幸いにもゴンドウはそれほど突出して弱いわけでもなく、何よりヒーローなので弱さが引立つこともなかったです。
また、ゴンドウと関係の深いキャラクターであるシャナイアが裏切った理由として「あんたらのように強くない人間はどうすればいいんだ!」というものでしたが、これもリコに付き添っていたハマーが裏切った理由と同じでした。弱い人間がどうするべきかというテーマの作劇もゼノギアスで同じことを扱っている以上、明確に意識したものと思います。
■主要キャラクターについて
ノア
主人公6人の中でも最もフォーカスされるキャラ。名前は旧約聖書のノアの方舟が由来でしょうか。オリジンが方舟の役割を担っているし・・・
ノアとミオは笛を使って死者を弔う「おくりびと」であることがメインシナリオ・サブシナリオ両方で生かされていました。
オリジンの破片とケヴェス女王・メリアの力が宿る終(オリジン)の剣、改め†魔剣ラッキー セブン†を振るえる唯一のキャラで、火時計をパカパカ割って回ります。途中までラッキーセブンの由来が”ノポンの鍛えた名刀”としか言われてなかったので『火時計を破壊するなんて、流石ウロボロスだ!!』と言われてたのが滅茶苦茶違和感あったのもご愛嬌。
スタッフ『本作は6人全員主人公です!』
「でもゼノシリーズなんだし、やっぱり今作もノアがなんやかんやあってシステム的に最強なんでしょ?」
スタッフ『当たり前だよなぁ!?』
固有アーツ「アンリミテッドソード」は公式チートとも言える性能で無敵あるわ回復するわ、挙句の果てに一人でスマッシュコンボを始動から最後まで完遂するわとやりたい放題でした。
ミオ
アグヌスのおくりびと。ノアのパートナーとして、そして作中で「成人」を迎える重要なキャラクターです。
執政官エムの能力でエムと入れ替わることで成人による肉体の消滅を回避。カードゲームのコスト踏み倒しか?
キャラクターとしては可もなく不可もなくといった印象。ビジュアルも良いしパーティの仕切り役を担うことも多いキャラですが、他の主人公メンバー5人の中では特別におかしな点や意外な一面が比較的少なく、埋もれてしまった感じです。
キャラビジュアルの変化が好きなので、終盤のヘアスタイルはロングヘアを選択。設定で変えられるのは知らなかった・・・
ランツ
ゼノブレイドのマシーナのような肌。アゴに刻印があるキャラは後にも先にもランツだけだった。
ノア・ユーニとは幼い頃からの戦友、ミオやセナにとっては兄貴分、タイオンとは正反対の性格でありながら根っこは似ている・・・と、地味にパーティ内では最も全員と交流しているキャラだった印象です。
インタリンク体のデザインはランツが一番好き・・・なのですが、ゲームでのインタリンク体はモーションがあまりに遅いため使い勝手が非常に悪く、不遇です。
ランツが1回アーツを撃っている間にノアは5回くらい殴れるので。
セナ
ゼノブレイド2のカグツチの系譜を感じさせますね。顔つきもどことなくスペルビア工程のユーゴに似ています。
パワーキャラでありますが性格は消極的なためパーティを牽引したりはせず、一歩引いたところで喋ることが多いたシナリオの中心にいることは少なかったのが残念。
自身のサイドストーリークエストでもゴンドウ・シャナイアに乗っ取られてしまう悲しい役回り。
しかしここ一番ではインタリンク体で鉄巨神をひっくり返したり、ノアとミオの仲裁をしたりと印象的な活躍がありました。
インタリンク体は独特のデザインで好きですね。
ランツのことを思い出しながら毎日筋トレを宣言するセナ、結構感情重めじゃない?
タイオン
本作最大の人気キャラ。肌黒で皮肉屋でマフラーがダサいメガネキャラが一番人気になると一体誰が予想したか。
個性的なキャラクターたちにきちんとツッコミを入れてくれるのでいちいち面白く、たびたびオチ要因にもなります。
最後までパーティの参謀役を務めますが、その内面はかなり感情的で、煽りに対してきっちり応えるプロレス精神の持ち主。 一見クールなようですぐ熱くなるキャラが好き。
シティーで見せた赤ん坊へのあざとすぎるリアクションで好きになった人も多いはず。
また、独自のブレイドであるモンドを使った戦闘も面白かった!明らかに意思を持ってるけどなんなんだモンド。インタリンクでも分身したり残像を使ったりと、ビジュアルにそぐわぬトリッキーな戦いをします。
ユーニ
乱暴な言葉遣い・性別を気にしない仕草とは裏腹に羽の乱れは気にしたり四葉のクローバー集めが趣味とギャップが魅力。
武器であるエーテルガンを使ったアクションがバトルムービーで頻繁に登場してましたね。また、高所が苦手という一面も。
ユーニも各キャラ全員と絡む印象ですが、特にコンビであるタイオンとのやりとりが毎回面白かった。
執政官エヌ
本作の敵メビウス側の最も重要キャラにして最大のネタキャラ。
ノアとおなじ顔を持ち真相に近い謎の仮面キャラ・・・の装いから繰り出されるツッコミどころが多すぎる愛されキャラでした。
・ケヴェスキャッスルで本性を表そうとした矢先にロストナンバーズの襲撃を受けたせいで失敗(主人公パーティが会話する背景で延々と銃撃を切り払うエヌ)
・他のメビウスが命で遊んでいる様子を見て「下品なメビウスめ・・・」と言っていたのに自分の”余興”はそれ以上にお下劣
・「お前の女これから死ぬけどどんな気持ち?wwねぇ今どんな気持ち?www』とノアに屈伸煽りしたら自分のパートナーが死んだあげく目の前でイチャイチャされて発狂
なぜノアとミオが転生を繰り返していたのか?という点についてはあまり語られていません。ミオは元々女王ニアの娘であることが示唆されていますが・・・
終の剣がエヌとノアそれぞれで持っているのも、作中で「なぜあいつが・・・」と言われるだけで特に語られませんでした。
シティーにいた頃から寿命があったりメビウス化した後にも転生体であるノア・ミオが生まれるなど残った謎は多いですね。
まとめ
シナリオ・バトル共にゼノブレイド1と2の集大成としてそれぞれの要素を混ぜ込み、ところどころにゼノギアス要素を散りばめたという感じです。
バトルにはあまり触れませんでしたが、今作はパーティメンバーが多い+ロールを自由に設定できて自由度が高いことが好印象です。クラスの育成も考えて進めるあたり、令和のFF5とも言えそうですね。
過去作のサブクエや傭兵団といった比較的面倒なクエストは削除されていたり、バトルでもインタリンクがかなり自由に使えたりとストレスを下げることに注力されているデザインでした。
不満点でいうと、ラスボスのゼットが割と小物だったり、原初のメビウスと言われたワイやエックスがあっけなく在庫処理されたりと気になる点はいくつか。
ただしサブキャラ含めた世界の描写は良くて、進めていくとどんどんキャラに愛着が湧いてくるゲームでした。
今回はここまで。読んでいただきありがとうございました。